【3月5日 AFP】インドの自動車大手タタ・モーターズ(Tata Motors)は4日、ジュネーブモーターショー(Geneva Auto Show)で小型で必要最小限の装備のみを搭載した世界最低価格のファミリーカー「Nano」を発表した。

 紅茶から鉄鋼までを扱う巨大財閥グループ、タタ・グループ(Tata Group)のラタン・タタ(Ratan Tata)会長(70)は、1月のインドの首都ニューデリー(New Delhi)でのデビューに続き、ジュネーブでも2タイプのNanoを披露した。

 同社はインド国内の2輪車から4輪車への乗り換えをターゲットに、Nanoをわずか10万ルピー(約26万円)と世界最低価格で販売する。外見はダイムラー(Daimler)の「スマート(Smart)」にそっくりで、624ccのエンジンを搭載している。基本モデルにはエアコンもパワーウインドーもパワステもないが、デラックスモデル2種類にはこれらの機能が装備されている。

 タタは記者団に対し、「現段階では欧州での販売予定はない」としながらも、将来的にはアップグレードした「高級版」を販売する可能性をにおわせた。さらに、「タタは世界規模で業界に貢献したいと本気で考えている」と語った。

 同社は11年前にジュネーブで初めて製品を発表して以来、世界有数の自動車メーカーに成長した。同社が今週、経営不振にあえぐ米自動車大手フォード・モーター(Ford)から英高級車ブランド「ジャガー(Jaguar)」と「ランドローバー(Land Rover)」のブランドを買収する見込みだと、業界メディアは報じている。

 一方、米自動車専門週刊紙オートモーティブ・ニューズ(Automotive News)がフォード筋の情報として伝えたところによると、ジュネーブで披露されるフォード・フィエスタ(Ford Fiesta)新型車の影が薄くならないよう、発表は先送りされるという。(c)AFP