【1月25日 AFP】仏銀大手ソシエテ・ジェネラル(Societe Generale、ソジェン)が24日、1人のトレーダーの不正取引による49億ユーロ(約7600億円)の損失を発表したが、これはトレーダーの不正行為が企業に巨額の損失をもたらす、ほんの一例に過ぎない。

 1995年の英ベアリングス銀行(Barings)、1998年の住友商事(Sumitomo Corporation)、2002年のアライド・アイリッシュ・バンク(Allied Irish BankAIB)。いずれの事件でも、1人のトレーダーの不正取引が巨額の損失を発生させた。

 不正取引を行うトレーダーに共通するのは、彼らが投資のプロだということだ。状況が悪くなり損失が出始めても誰も気づかない。ソジェンの場合も同様で、同社は不正行為を行ったトレーダーについて「すべての管理手法をくぐり抜ける知識を持っていた」と発表している。

 今回の事件に驚かなかった人物が1人いる。ニック・リーソン(Nick Leeson)氏。世界で最も有名な不正行為を行い、ベアリングス銀行を破綻に追い込んだ元トレーダーだ。

 リーソン氏は28歳のとき、ベアリングスのシンガポール支店に勤務していたが、不正取引により約10億ポンド、当時の為替レートで約1600億円の損失を発生させた。ベアリングスはナポレオン戦争の資金を融資し、英国女王にも重用された老舗銀行で、同行の破綻は大々的にメディアで報じられた。

 そんなリーソン氏はAFPに対し、不正行為は「いつでも起こりうる」と語った。同氏はシンガポールで3年半服役し、現在はアイルランド西部でサッカークラブを経営。自伝「マネートレーダー銀行崩壊(Rogue Trader)」は、その後映画化されている。

 住友商事の浜中泰男(Yasuo Hamanaka)元非鉄金属部長は銅先物の不正取引の罪で懲役8年、AIBのJohn Rusnak元トレーダーは、同様の罪で米裁判所から懲役7年半を言い渡された。(c)AFP