【12月31日 AFP】医薬品世界第3位の米イーライリリー(Eli Lilly)(本社インディアナポリス〈Indianapolis〉)英子会社は30日、サダム・フセイン(Saddam Hussein)政権時代のイラクにおける国連(UN)石油・食料交換計画での不正取引事件で、英重大不正捜査局(Serious Fraud OfficeSFO)の捜査を受けていることを明らかにした。

 同社は12月中旬にSFOから書類の提出を求められたという。イーライリリーの広報担当者は「現在関係書類を収集しており、来年には提出する」との見通しを示した。 

 前日には英グラクソ・スミスクライン(GlaxoSmithKline)、英スウェーデンのアストラゼネカ(AstraZeneca)も同様の要請を受けたことを明らかにしている。両社は不正行為への関与を否定し、捜査に全面的に協力するとしている。

 1996年に始まった同計画では、イラク政府は石油輸出と引き換えに人道物資を受け取っていた。米軍主導の多国籍軍がイラクに進攻する2003年まで続けられた。

 ポール・ボルカー(Paul Volcker)米連邦準備制度(Federal Reserve)元議長は2005年、フセイン政権が同計画に協力する外国企業から多額のわいろを求めていたとして、約2000社の関与を指摘する報告を発表した。同政権は数百万ドルを不正に獲得したとされる。

 イングランド、ウェールズおよび北アイルランドに本拠地を置く企業を管轄するSFOは、今年2月に捜査を開始したと発表していた。当初の計画では3年間で捜査にかかる費用は総額2200万ポンド(約49億円)と見込まれている。(c)AFP