【10月13日 AFP】ニューヨーク(New York)原油先物市場は12日、トルコがイラク国境を越えてクルド人勢力掃討に乗り出す懸念が高まったことから、1バレル83ドル(約9760円)を上回る史上最高値で取引を終えた。

 トルコはイラク北部のクルド人地区が武装組織「クルド労働者党(Kurdistan Workers' PartyPKK)」の後方基地になっているとして一掃のため国境を越えて進攻すると警告しており、イラクのクルド自治政府は実行に移さないようトルコ側をけん制している。

 こうした情勢を反映し、同日のニューヨーク商業取引所(NYMEX)では、標準油種の軽質スイート原油先物(11月分)が前日比61セント高の1バレル83ドル69セント(約9842円)で取引を終え、終値として史上最高値を記録した。一時は84.05ドル(約9884円)まで上昇し、9月につけた取引時間中の史上最高値にあと5セントまで迫った。

 北海ブレント(Brent North Sea)原油先物は、一時1バレル80.87ドル(約9510円)まで上昇したものの、9月につけた81.05ドル(約9531円)の史上最高値は超えず、40セント高の80.55ドル(約9472円)で取引を終えた。
 
 アナリストは、原油価格高騰の原因はトルコとクルド人勢力との緊張が高まることへの懸念が広がったことだと分析している。トルコ政府はPKKがイラク北部を拠点にトルコ領内に新たな攻撃を仕掛けていると非難している。

 市場関係者は、北半球の冬の訪れを前に暖房用燃料の供給が締め付けられることに警戒感を示している。また米国が金利を引き下げるとの見通しから、米経済が刺激され原油の世界的な需要を生むとの期待感が、買い材料となった。

 一方、国際エネルギー機構( International Energy AgencyIEA)は、今週、今年と来年の原油の需要は引き続き堅調との見通しを発表した。

 それによると、原油の平均需要は2007年には1日当たり8590万バレル、2008年には8800万バレルになると予想される。(c)AFP