【6月13日 AFP】複数の日本企業に次々と敵対的買収を仕掛けている米系投資ファンド、スティール・パートナーズ(Steel Partners)は12日、東京都内で記者会見を開き、 事前警告型の買収防衛策を導入した複数の日本企業に対して訴訟を起こす可能性に言及した。

 会見は同ファンドが買収を仕掛けたブルドックソース(Bull-Dog Sauce)が、最近、同ファンドを除く既存株主に新株予約権を割り当て、スティールの持ち株割合を希釈化することで買収を防ぐ「ポイズンヒル(毒薬条項)」の導入計画を発表したことを受けて行われた。

 ほとんどメディアの前に現れたことのないことで知られるスティール・パートナーズのウォレン・リヒテンシュタイン(Warren Lichtenstein)代表は、自分のファンドについての誤解を一掃し、日本企業の経営陣を「啓蒙」するために会見を開いたとした上で、「我々は、ポイズンピルは違法で、株主を差別するものだと考えている」と述べた。

「我々は日本の会社法がポイズンピルを許しているとは考えていない。ポイズンピルの是非については、法廷で決着すべき問題だと考えている」と同氏は記者会見で述べた。

 スティール・パートナーズはポイズンピルによる買収防衛策を導入する企業に対して訴訟を起こすのかとの質問に対し、リヒテンシュタイン代表は「1株主として、我々は常に収益の機会を評価しており、この姿勢は今後も変わらない」と答えた。

 スティール・パートナーズとその関連企業は、既にブルドックソースの発行済み株式の10.15%を保有する筆頭株主。普通株式の全株取得を目指し1株あたり1584円で公開買付けを開始したが、ブルドッグソースの経営陣は拒絶している。

 日本企業の間に買収防衛策が広がりつつあるが、リヒテンシュタイン氏は日本企業への投資を続ける計画に変更はないとし、「米国の例を見れば、ポイズンピルを導入しても未調整の買収がなくなったわけではなく、おそらく日本でもなくならないだろう。ポイズンピルは株主の権利を損なうだけだ」と述べた。(c)AFP