【7月23日 AFP】東京電力(TEPCO)福島第1原子力発電所事故の原因究明を目的とした政府の東京電力福島第1原発事故調査・検証委員会(畑村洋太郎委員長)は23日、日本政府と東京電力が原発の「安全神話」を信じて原発事故の危険性(リスク)を無視したとする報告書を発表した。

 最終報告は、「東京電力を含む電力事業者も国も、我が国の原子力発電所では炉心溶融のような深刻なシビアアクシデントは起こり得ないという安全神話にとらわれていたがゆえに、危機を身近で起こり得る現実のものと捉えられなくなっていたことに根源的な問題がある」と結論付けた。

 事故調査・検証委員会は、政府が指名した学者やジャーナリスト、弁護士、技術者らで構成されている。最終報告書は450ページに上った。

 事故調はまた、福島原発従業員の危機対策に関する訓練が不足していたことを指摘。さらに、東京電力と原子力安全保安院(Nuclear and Industrial Safety AgencyNISA)が津波とシビアアクシデントへの対策を準備していなかったと述べた。

「大規模な複合災害への備えにも不備があり、格納容器が破損して大量の放射性物質が発電所外に放出されることを想定した防災対策もとられていなかった」と報告書は付け加えた。(c)AFP