【2月1日 AFP】オーストラリア北東部沿岸に大型のサイクロンが接近していることを受け、同国北東部クイーンズランド(Queensland)州で1日、住民の避難が始まった。クイーンズランド州は、前年12月からの記録的な水害により、30人以上が死亡し、家屋数万戸が損壊したばかりだ。

 風速約70メートルの強風をともなう大型のサイクロン「ヤシ(Yasi)」は、現地時間3日未明にも豪北東部沿岸に上陸する進路をとっており、沿岸部では豪雨と暴風が予想されている。ヤシは上陸時にはサイクロンの強さを示す5段階のスケールで2番目に強い「カテゴリー4」になる見込みで、その勢力は2006年にオーストラリアを直撃して総額15億豪ドル(約1200億円)の被害を出したサイクロン「ラリー(Larry)」を超えるとみられる。

 ヤシは3日午前1時(日本時間同日午前零時)ごろにケアンズ(Cairns)とその南のイニスフェイル(Innisfail)の間に上陸すると予報されている。ヤシから数百キロ離れたところでもこのサイクロンによる風雨が観測される可能性もある。

■上陸を前に避難開始

 住民や観光客らが避難を始めるなかクイーンズランド州のアンナ・ブライ(Anna Bligh)首相は、「大型で人命を脅かすサイクロンだ」と警告した。

 すでに当局は、サイクロンの進路上にあるケアンズの病院2か所に避難命令を出しており、入院患者250人以上が軍用機でケアンズを離れる予定だ。ケアンズではサイクロンにより2.5メートルの高潮が予想されている。

 また、被害が予想される沿岸部の他の地域にも避難命令が出されているほか、避難命令の出ていない地域でも住民たちは自主的に避難センターへ向かっている。ケアンズ市周辺では計9000人が避難する見通し。

 オーストラリアの世界最大のサンゴ礁グレートバリアリーフ(Great Barrier Reef)にあるハミルトン島(Hamilton Island)でも観光客らは避難を始めた。

 当局は、屋根などが強風に飛ばされて被害を与えないよう補強するとともに、食料、燃料、電池、ろうそくを準備するよう住民に呼びかけている。(c)AFP/Marc Lavine