【10月14日 AFP】チリ北部のサンホセ(San Jose)鉱山に閉じ込められた作業員33人の救出活動は、13日午後までに全体の3分の2が救出された。14日午前0時(日本時間14日正午)までに最後の1人が救出用カプセル「フェニックス(不死鳥)」で地表に上げられ、落盤事故から69日目に始まった救出劇はフィナーレを迎える模様だ。

 9番目に救出された最年長のマリオ・ゴメス(Mario Gomez)さん(63)は、「わたしは生まれ変わった」と話した。

 2番目に救出されたマリオ・セプルベダ(Mario Sepulveda)さん(40)は、「ずっと、神と悪魔と共にいた。わたしは神の手をつかんだ。最高の手だった。神が必ずわれわれをここから出してくれると信じていた」と話した。

 救出された作業員たちの顔は青白く、自然光から目を守るための特殊なサングラスをかけている。夜間に救出された作業員たちは、久しぶりの自由とともに、アタカマ(Atacama)砂漠の冷気を吸い込んだ。 

 作業員らはただちに現場の仮設診療所で健康診断を受けたが、うち何人かが近郊の街コピアポ(Copiapo)の病院へヘリコプターで搬送された。

 病院の医師によると、現在入院している11人の体調は順調に回復しているが、ゴメスさんとセプルベダさんの2人は珪(けい)肺症を患っているという。この病気は、ちりを大量に吸い込むことで肺に病変が現れ、呼吸を困難にするもので、鉱山労働者によく見られる病気だ。 

■「二度と鉱山には戻りたくない」

 鉱山の入口の仮設テントで暮らす親族らは、世界各国から集まった2000人の記者に見守られ、カメラのシャッターが切られるなか、1人救出されるたびに歓声を上げ、涙にくれた。

 無事に生還を果たした作業員の親族たちの中には、33人全員が救出されるまではこの場を離れないと話す人もいた。

 作業員らは、世界中の注目が集まったことで、スポンサーが集まり、映画化されることを期待している。そうすれば、この後の人生を快適に過ごすことができると考えている。そして、作業員の多くは、「二度と鉱山には戻りたくない」と語っている。(c)AFP/Marc Burleigh