【8月11日 AFP】大洪水に見舞われたパキスタン北西部を拠点に活動を続けるアフガニスタンの旧支配勢力タリバン(Taliban)は11日、外国の助けを受けるべきではないとして、被災地への国際援助に反発した。

 AFPの電話取材に応じたパキスタン・タリバン運動(Tehreek-e-Taliban PakistanTTP)のアザム・タリク(Azam Tariq)報道官は、「米国その他の外国による援助は征服につながる。米国に対するわれわれのジハード(聖戦)はこれからも続く」と語った。

 パキスタン政府に対しても「米国の援助を受けるべきではない。受け取らないのであれば、われわれが洪水被災者のための救済金として2000万ドル(約17億円)を提供できると」述べ、米国が新たに表明した援助額に匹敵する資金を自分たちが出せると断言した。

 さらにTTPは「政府がメンバーを一切逮捕しないと約束すれば、ハキムラ・メスード(Hakimullah Mehsud)司令官の指揮の下、われわれ独自の救援物資を人びとに届けるつもりだ」とも語った。パキスタン政府の救援活動が遅々として進まないなか、被災地ではイスラム教系慈善団体の存在感が強まっている。

 米国は10日、新たに2000万ドル(約17億円)の追加食糧支援を発表し、同国の食糧支援の合計は5500万ドル(約47億円)になった。米国はすでにイスラムの戒律に従ったハラル食43万6000食分、プレハブ式橋梁12基などを提供している。米政府はまた、米国のヘリコプターが1000人を超えるパキスタン人を救助したと発表した。
 
 パキスタン政府が確認した死者数は1243人だが、国連(UN)はこの洪水で1600人が死亡し、パキスタン全土で600万人が人道援助に頼る状態が続いているとし、国際社会に数億ドル(数百億円)規模の資金拠出を求める方針を示している。(c)AFP/Hasan Mansoor