【6月1日 AFP】中国・四川大地震による土砂崩れで川がせき止められてできた唐家山(Tangjiashan)のせき止め湖で、決壊を避けるための排水路が完成し、作業員がヘリコプターで撤退を開始した。

 湖に近い綿陽(Mianyang)市の救援当局者によると早ければ1日にも排水を開始する。

 中国中央テレビ(CCTV)によるとすでに兵士約350人の撤退が完了し、1日の昼までにはさらに300人が撤退する。テレビでは作業用具が搬出される様子が放映された。

 この救援当局者によると決壊に備えすでに19万7000人が避難したが、下流に住む人々に危険が及ぶ可能性があるため約130万人が避難する準備をしているという。「排水が計画通りに行けば避難の必要はない」(当局者)

 住民は予防措置として川から最低30メートル高い場所に移動するよう命じられたという。

 警告にもかかわらず、唐家山のせき止め湖の下流で最大の人口を抱える綿陽市内では、フウ江(Fujiang)沿いでテント暮らしする人もいる。

 地元当局は31日に予定されていた緊急避難訓練を取りやめた。CCTVは、せき止め湖を爆破する計画は中止になったと報じた。

■新たな生存者も

 一方、新華社(Xinhua)通信によると地震発生から20日目に清平(Qingping)郷で2人の生存者が見つかった。2人は水と食料を与えられたという。

■工場や建物による二次災害の防止策も

 環境保護局は30日午後、環境への問題を引き起こす可能性を調査するため、被災地の工場などに向けて数千人を派遣したと発表した。新華社通信が同局のウェブサイトに掲載された声明として報じたところによると、四川(Sichuan)省にある調査済みの1万4357社(化学工場2900社を含む)のうち134件で危険性が見つかった。

 学校などの損壊建物による危険も指摘されている。新華社通信によると政府は地元当局に対し被災地にあるすべての学校建物の安全検査を命じた。(c)AFP/Robert J. Saiget