【8月1日 AFP】米麻薬取締局(Drug Enforcement AgencyDEA)に逮捕された後、留置施設の独房に水も食事も与えられないまま5日間放置された男子学生が、米政府からの410万ドル(約4億円)の示談金の申し出に応じた。米メディアが7月31日、報じた。

 米紙ロサンゼルス・タイムズ(Los Angeles Times)によると、カリフォルニア(California)州サンディエゴ(San Diego)の大学生ダニエル・チョン(Daniel Chong)さん(25)は昨年4月、DEAが行った強制捜査で、マリフアナを吸ったとして友人宅で他の学生らとともに逮捕された。

 チョンさんは、サンディエゴにあるDEAの施設に収監され事情聴取を受けたが、すぐに釈放すると言われた。だが係官は明らかにチョンさんの存在を忘れていたとみられ、チョンさんを釈放しには戻ってこなかった。結果、チョンさんは窓もない狭い独房に5日間も放置された。

 その間、チョンさんは脱水症状を防ぐため自身の尿を飲まねばならなかったという。また幻覚症状にも襲われた。助けられる前に死ぬのではないかとの恐怖から、チョンさんは眼鏡を割り、その破片で腕に「Sorry, mom(ごめん、お母さん)」との文字を刻み込んだという。

 チョンさんの弁護士によれば、この一件の後、チョンさんは集中精神治療を受けねばならなかったうえ、心的外傷後ストレス障害(PTSD)に苦しんでおり、「このようなことは、地球上のいかなる人にも決して起こってはならない」と語っているという。(c)AFP