【5月8日 AFP】米オハイオ(Ohio)州で約10年間にわたり監禁されていた女性3人が保護された事件を受け、同様の誘拐事件の被害者ジェイシー・デュガード(Jaycee Dugard)さん(31)は7日、3人には自由に慣れるまでの時間が必要だと訴えた。

 11歳だった1991年に性犯罪歴を持つ男に誘拐されたデュガードさんは、2009年に保護された当時、世界中のメディアから高い関心を集めた。

 今回の事件の舞台となったオハイオ州クリーブランド(Cleveland)に多数の報道関係者が押しかける中、デュガードさんは声明を発表。衝撃的な事件の渦中にある3人の女性たちに、新しい環境に適応するための時間を与えるよう訴えた。

 デュガードさんは米ピープル(People)誌に対し、「癒やされ、世界と再びつながるための機会が必要。(事件は)彼女たち自身を表すものではなく、彼女たちの身に起こったことにすぎない」と述べるとともに、被害女性らが持つ強さにも触れた。「人間の精神には信じられないほどの回復力がある。今回の事件は、決して希望を捨ててはならないということを、かつてないほどに再認識させてくれる」

 6日に保護された3人の女性はすでに、約10年前から行方不明になっていたアマンダ・ベリー(Amanda Berry)さん(27)、ジョージーナ・デヘスース(Georgina DeJesus)さん(23)、ミシェル・ナイト(Michele Knight)さん(32)と確認されている。

 ベリーさんは監禁されていた間に出産したと報じられている。デュガードさんもまた、フィリップ・ガリドー(Phillip Garrido)受刑者と妻のナンシー・ガリドー(Nancy Garrido)受刑者に誘拐され、監禁されている間に2人の子を産んだ。両者はすでに終身刑が確定している。

 一方、14歳だった2002年に自宅から誘拐され、9か月後に保護されたエリザベス・スマート(Elizabeth Smart)さんもまた、3人の女性たちがそれぞれの生活を立て直せることを願っていると、米ABCニュース(ABC News)に語った。「彼女たちは決して、これまでに起きたことで自分自身の価値がおとしめられたと考えてはいけない。将来には本当にたくさんのことが待っており、過去にとらわれる必要はないということを分かってほしい」

 スマートさんはさらに、自身が事件後に母親から受けたという助言に触れ、アリエル・カストロ(Ariel Castro)容疑者(52)が起こしたとされる事件の苦しみに今後の人生を台無しにされてはいけないと3人に呼び掛けた。3人へのアドバイスはあるかと聞かれると、「今後あと1秒も、この男に自分の生活を損なわせてはいけない」と語った。(c)AFP