【4月19日 AFP】ギリシャ南部の村にあるイチゴ農場で17日夜、長期間未払いだった賃金の支払いを求めていた移民労働者に対し、農場の監督者3人が発砲したとみられる事件があり、27人が負傷した。地元警察が18日、発表した。

 事件が起きたのは、ギリシャの主要なイチゴ産地の一つであるマノラダ(Manolada)村。地元警察は、発砲の「扇動者」とされる地主(57)と、事件の容疑者2人をかくまった疑いのある男1人を逮捕した。

 発砲で負傷した労働者はその大半がバングラデシュ出身で、近くの沿岸都市パトラ(Patras)とその近郊の病院に入院し、治療を受けている。

 警察によると、農場で働く移民労働者の中には、6か月間賃金の支払いを受けていなかった人もいた。事件では、未払い賃金の支払いを要求していた約200人の労働者に向けて発砲があったという。

 シモス・ケディコグル(Simos Kedikoglou)政府報道官は、この事件を「非人間的」で「ギリシャ人の道徳観にもとる」ものだとして、当局による迅速な対応を約束した。

 一方で、共産党系労働組合「全ギリシャ戦闘的労働者戦線(PAME)」は、同国には移民労働者が虐待されてきた長い歴史があり、この事件はその流れの中で起きたものにすぎないと指摘。「マノラダの『現代の奴隷たち』は息の詰まるような環境で働き、搾取者に家賃を払い、水も電気もない小屋に皆で重なり合って寝泊りさせられている」と述べている。

 ギリシャでは、移民労働者に対する待遇が国内外の人権団体から長く批判され続けているが、状況はほとんど改善されていない。 (c)AFP