【2月5日AFP】ベトナム中部フーイエン(Phu Yen)省の裁判所は4日、政府転覆を企てたとして罪に問われていた22人の被告に対し、禁錮10年から終身刑までの厳しい判決を言い渡した。被告側の弁護人が同日、明らかにした。

 同様の罪では過去数年で最も規模の大きなものとなった裁判。厳しい判決内容は反政府勢力を弾圧する同国の政策の一環と見られており、国際社会からは弾圧を懸念する声が高まっている。

 被告側のグエン・フオン・クエ(Nguyen Huong Que)弁護人がAFPに語ったところによると、終身刑を言い渡されたのはグループの指導者とされるファン・バン・トゥ(Phan Van Thu)被告。残る21被告には禁錮10~17年と最高5年の自宅軟禁の判断が下された。

 国選弁護人のグエン氏は「被告のほぼ全員が政府転覆を企てたとの起訴内容を認めた。量刑は妥当だ」と話した。

 これに対しニューヨーク(New York)を本拠とする国際的人権擁護組織ヒューマン・ライツ・ウオッチ(Human Rights Watch、HRW)のアジア局局長代理フィル・ロバートソン(Phil Robertson)氏は、「量刑の重さに強い衝撃を受けている。ベトナムにおける基本的人権への新たな打撃」と批判した。

 国営メディアによると、被告22人はエコツーリズム運営を隠れみのとして「反動」グループを組織し、政府を中傷。その指針や政策をゆがめた文書を作成したとされた。

 ベトナムでは2009年から言論弾圧が厳しくなり、ヒューマン・ライツ・ウオッチによると、2012年には少なくとも活動家33人が、公民権や政治の権利主張を罰することのできるあいまいな法律に基づいて有罪判決を受けた。1月にはカトリックの平和活動家、ブロガー、学生を含む活動家ら13人が有罪判決を下されており、米政府が批判している。

 グエン・タン・ズン(Nguyen Tan Dung)首相は2012年12月、インターネットを利用した当局への中傷、さらには反共産党および反政府宣伝活動を厳しく取り締まるよう指示した。(c)AFP