【1月14日 AFP】エジプト破棄院(日本の最高裁に相当)は13日、2011年の民主化要求デモを弾圧した罪で、エジプトのホスニ・ムバラク(Hosni Mubarak)前大統領(84)らに終身刑を言い渡した1審判決を破棄し、裁判のやり直しを命じる決定を下した。

 ムバラク前大統領、前大統領の2人の息子、ハビブ・イブラヒム・アドリ(Habib Ibrahim al-Adly)前内相、当時の治安当局幹部に対する判決も破棄された。差し戻し審の期日は後日決定される。

 ムバラク前大統領とアドリ元内相は、2011年1月25日から18日間続いたデモで800人以上の死者が出たことを防げなかったとして、昨年6月2日に終身刑の判決を受けていた。破棄院は被告側、検察側双方の上訴を受け入れ、カイロ(Cairo)の裁判所が出していた判決を全て破棄して裁判のやり直しを命じた。

 同じ裁判では治安当局幹部6人も起訴されたがいずれも無罪になっていた。デモ参加者の殺害に直接関与した者が1人も有罪にならなかったことで、判決はエジプト全土で大きな怒りを呼び、各地で大規模な抗議行動が起きた。

 別の裁判もあるためムバラク前大統領と2人息子、アドリ元内相は引き続き収監される。ムバラク前大統領は12日、デモ参加者殺害とは別に、政府系日刊紙アルアハラム(Al-Ahram)から700万エジプトポンド(約9500万円)相当の贈り物を受け取っていたという汚職事件の取り調べを受け、調べが終わるまで15日間の勾留を命じられた。(c)AFP/Mostafa Aboul Ezz