【12月19日 AFP】米コネティカット(Connecticut)州ニュータウン(Newtown)の小学校で起きた銃乱射事件で使われた銃は、米軍がベトナム戦争以来使用している殺傷力の高い「M16アサルトライフル」の民間向けモデルで、米国内のどこでも合法的に購入できるものだった。

 警察当局の発表によると、アダム・ランザ(Adam Lanza)容疑者に殺害された犠牲者の大半はブッシュマスター・ファイアアームズ・インターナショナル(Bushmaster Firearms International)製のライフル「AR-15」で撃たれていた。AR-15は.223口径の弾薬を使用するが、これは北大西洋条約機構(NATO)軍の5.56mm弾と同等のものだ。

 AR-15は第2次世界大戦や朝鮮戦争で使われたライフルよりも軽く、その弾丸は防弾チョッキや鉄製ヘルメットを貫通し、秒速1000メートル近くの速度で600メートル先の敵兵を倒すよう設計されている。

■多くの銃乱射事件で使用

 AR-15はまた、M16ライフルの銃身を短くした「M4カービン」の基になったモデルでもある。M4は現在、米軍によりアフガニスタンなど世界各地で使用されている。今年7月、映画「バットマン(Batman)」シリーズ最新作の公開初日に米コロラド(Colorado)州オーロラ(Aurora)の映画館で銃を乱射した犯人もAR-15を使っていた。

 AR-15は、「ベルトウエー・スナイパーズ」として知られるジョン・アレン・ムハマド(John Allen Muhammad)元死刑囚とその義理の息子リー・ボイド・マルボ(Lee Boyd Malvo)受刑者が2002年に首都ワシントンD.C.(Washington D.C.)近郊で10人を殺害した連続狙撃事件でも使われた。

 M16はこれまで『地獄の黙示録(Apocalypse Now)』や『ランボー(Rambo)』など、数え切れない数の映画のほか、人気戦争ゲーム「コール オブ デューティ(Call of Duty)」にも登場している。

 M16の民間モデルは、米軍が1960年代から使用しているものと事実上同一のモデルで、フルオートマチックでない点だけが異なる。M16は引き金を引き続けることで連射が可能だが、セミオートマチックの民間モデルは、1発ごとに引き金を引く必要がある。

■10万円未満で購入可能

 米議会は1994年にアサルトライフルや10発を超える弾丸が入る大容量弾薬装填装置を禁止したが、この措置は共和党政権下の2004年に期限切れを迎えた。米国では軍用アサルトライフルの所持は現在も違法だが、セミオートマチック・アサルトライフルは全く合法的に所持することができる。

 ブッシュマスター社の親会社であるフリーダム・グループ(Freedom Group)は、自社を米国最大のセミオートマチック銃器製造業者だとしている。

 セミオートマチック・ライフルは「モダン・スポーティングライフル」とも呼ばれている。ブッシュマスターのAR-15は「ハンティング、競技、自宅防衛、そして戦術的仕様」に適したモデルとうたわれて、インターネット上で1000ドル(約8万4000円)を下回る価格で販売されている。

■増える米国内の銃器

 米司法省のアルコール・たばこ・銃器取締局(Bureau of Alcohol, Tobacco, Firearms and Explosives)によると、2011年に米国で製造されたアサルトライフルは約230万丁に上り、これとは別に約100万丁が輸入された。

 米国立司法研究所(National Institute of Justice)によると、米国人が所有する銃器の数は1994年には1億9200万丁だったが、2007年には2億9400万丁に増加。うち1億600万丁が拳銃、1億500万丁がライフル、8300万丁がショットガン(散弾銃)だった。米国に出回っている銃器の数は、民間人2人につき約1丁の割合だった1968年からほぼ倍増し、現在はおよそ1人につき1丁という計算になる。(c)AFP