【12月11日 AFP】国際通貨基金(IMF)のドミニク・ストロスカーン(Dominique Strauss-Kahn)前専務理事(63)に性的暴行を受けたとして米ニューヨーク(New York)のホテルの女性従業員ナフィサトゥ・ディアロ(Nafissatou Diallo)さんが損害賠償を求めていた民事訴訟は10日、和解が成立した。

 事件は2011年5月14日、ニューヨークの高級ホテル、ソフィテル(Sofitel)で客室係のディアロさんがストロスカーン氏のスイートルームを清掃していたところ、全裸でバスルームから出てきた同氏がディアロさんにオーラルセックスを強要したというもの。

 逮捕・起訴されたストロスカーン氏は、合意の上での行為だったと主張していた。同年8月、検察側はディアロさんの供述は信頼性に欠けるとして訴追を取り下げ、ストロスカーン氏はフランスに帰国していた。

 ストロスカーン氏は10日、ニューヨークの裁判所に現れなかったが、アフリカのギニアからの移民で10代の娘を1人で育てているディアロさんはほぼ1年ぶりに公の場に姿を見せた。裁判所を出たディアロさんは「私を支えてくれた全ての人と神に感謝します」と短くコメントし、車で立ち去った。

 判事は和解の詳しい内容を公にしないよう命じた。ストロスカーン氏側の弁護士はディアロさんが数百万ドル(数億円)を手にするという報道を否定している。しかし専門家らはこうした事例では相当額の金額が支払われることが常だと話している。

 裁判所によると、ディアロさんは売春婦だったと報じた米大衆紙ニューヨーク・ポスト(New York Post)をディアロさんが訴えていた裁判も和解したという。 
 
 ストロスカーン氏は、ほかにも別のスキャンダルで母国フランスで捜査対象となっているが、少なくともディアロさんとの一件は幕を閉じることになる。(c)AFP/Tim Witcher