【7月26日 AFP】中米でコスタリカ船を妨害したとしてドイツで逮捕され、保釈中だった反捕鯨団体「シー・シェパード(Sea Shepherd Conservation SocietySSCS)」創設者のポール・ワトソン(Paul Watson)代表(61、カナダ国籍)の所在が22日以降、分からなくなっている。保釈条件を破り出国した可能性もあり、独当局は25日、ワトソン容疑者が逃亡したものと判断、コスタリカへの身柄引き渡し手続きを再開した。

 独フランクフルト(Frankfurt)上級地方裁判所によると、ワトソン容疑者が「詳細不明の場所」へ向けてドイツを出国したとの通知が同容疑者の弁護士からあったという。同裁判所は「逃亡によって容疑者が自分への信頼の正当性を示せなくなったため、身柄引き渡し手続きを再開することを決定した」と発表した。

 ワトソン容疑者は、2002年にシー・シェパードが中米グアテマラ沖でドキュメンタリー映画を撮影中、コスタリカ船舶の航行を妨害し「船員を危険にさらした」として国際指名手配されていた。5月に独フランクフルトの空港で身柄を確保され、コスタリカ当局が引き渡しを要請していたが、約1週間の拘束の後保釈金25万ユーロ(約2400万円)を支払い、1日に2回警察に出頭することを条件に保釈されていた。

 しかし同裁判所によると、ワトソン容疑者は22日以降、出頭していない。独司法省の報道官は、ワトソン容疑者の行方は不明で、独国内にいるかどうかも分からないと述べている。

 ワトソン容疑者は以前、自分の身柄を引き渡しを求めて日本がドイツに圧力をかけていると示唆したことがある。(c)AFP