【7月5日 AFP】オーストラリアで、隣人の首を切り落としたとして行方を追われていた男が、逃亡中に殺人映画のオーディションで警官役のエキストラに合格していたことが分かった。

 ジョナソン・ステンバーグ(Jonathon Stenberg)容疑者(46)は6月21日あるいはそれ以前に、隣人だったエドワード・ケリー(Edward Kelly)さんの頭部を切断して殺害した疑いが持たれており、ニューサウスウェールズ(New South Wales)州の自宅から逃亡していた。ケリーさんの遺体には、首があるべき場所に帽子がかぶせられていたという。

 大規模な捜索が行われた結果、同容疑者は6月27日に同国北部のダーウィン(Darwin)近郊で逮捕された。6日間の逃亡中、ステンバーグ容疑者はクイーンズランド(Queensland)州の田舎町ウィントン(Winton)に現れた。町ではちょうど、殺人を題材とした映画『Mystery Road』に出演するエキストラのオーディションが開かれていた。

 応募者の中で一番早くオーディション会場に現れた同容疑者は助監督のマーク・イングラム(Mark Ingram)氏に、ガソリンスタンドで見たポスターでオーディションについて知り、現金が欲しかったので応募しようと思ったと話したという。

   「とても人柄が良く、信用できる男に見えた」とその時の印象を語るイングラム氏は、皮肉にもステンバーグ容疑者に警官役をオファーするつもりだったと語った。

 だがその2日後、容疑者の携帯電話に連絡を取ろうとしたところ応答が無く、後に容疑者からは「お会いできて良かったですが、仕事の当てが見つかったので北部特別地域(Northern Territory)に向かっています」との電子メールが届いた。

 ステンバーグ容疑者は実名でオーディションを受けていたが、イングラム氏は逮捕のニュースを聞くまでこの男が殺人事件の容疑者だったことに気付かなかったという。(c)AFP