【5月24日 AFP】パキスタン北西部の部族地域の裁判所は23日、国際テロ組織アルカイダ(Al-Qaeda)の最高指導者ウサマ・ビンラディン(Osama Bin Laden)容疑者を追跡する米中央情報局(CIA)に協力したパキスタン人医師シャキル・アフリディ(Shakeel Afridi)被告に、反逆罪で禁錮33年と罰金32万ルピー(約28万円)の有罪判決を言い渡した。

 2か月前にパキスタン政府から医師職を解雇されたアフリディ被告は出廷せず、弁論の機会も与えられなかったという。部族地域の法制度に基づき、被告は弁護士とも接触できなかったとみられる。

 同州報道官によると裁判後、アフリディ被告の身柄はペシャワル(Peshawar)の刑務所に移送された。

「テロとの戦い」で同盟関係にある米国とパキスタン政府は、米軍が前年5月に極秘でビンラディン容疑者殺害作戦を実行したために冷え込んだ関係の修復に苦慮している。こうした中で米国に協力したアフリディ被告に有罪判決が出たことに対し、米国務省は同日、アフリディ被告を拘束する根拠も裁く根拠もパキスタンにはないとの声明を発表した。

 米国防総省のジョージ・リトル(George Little)報道官も、「ウサマ・ビンラディンの追跡で米国を支援した者は、パキスタンに歯向かったのではない。彼らはアルカイダとの戦いに協力したのだ」と記者団に語った。

 また、米上院軍事委員会のカール・レビン(Carl Levin)委員長(民主党)とジョン・マケイン(John McCain)筆頭理事(共和党)は、アフリディ被告の恩赦と「即時」釈放を求める共同声明を発表。パキスタン側の決断によっては米国が経済援助を見直す可能性もあると警告した。(c)AFP