【3月12日 AFP】エジプトの軍事裁判所は11日、前年の反体制デモで拘束された女性たちに「処女検査」を行ったとされていた軍医、アフメド・アデル(Ahmed Adel)被告に無罪の判決を言い渡した。

 中東通信(MENA)によれば、アデル被告はサミラ・イブラヒム(Samira Ibrahim)さんに処女検査を行ったとして起訴されたが、裁判官は目撃者の証言に矛盾があるとして無罪を言い渡した。検察側は性的暴行での訴追を取り下げた後、公然わいせつと軍の命令に背いた罪でアデル被告を起訴していた。

 無罪判決に対してイブラヒムさんは、「冗談でしょう。とんだ茶番」と怒りをあらわにした。「軍事裁判所で審理されたということ自体がひどすぎる」と述べた。だが、被告側のフワイダ・モスタファ・サレム(Huwayda Mostafa Salem)弁護士は裁判後、取材陣に対し「この件は最初から強い根拠がなかったが、メディアの圧力によって裁判に持ち込まれた」と語った。

 この事件は発生当初からエジプト全土で激しい抗議運動を巻き起こしてきており、アデル被告が起訴されたというニュースは、検査を強要された女性たちの勝利として受け止められ、他の同様な事件の訴追にもつながると期待されていた。

 国際人権団体はこの裁判を「茶番劇」だとし、女性たちが2度と「処女検査」を強要されないよう対策を取ることをエジプト軍部に求めた。国際人権団体ヒューマン・ライツ・ウオッチ(Human Rights WatchHRW)北アフリカ支部の研究員ヘバ・モラエフ(Heba Morayef)氏は、「この判決によって、エジプトの軍事司法制度がいかに政治に影響され、独立性を保てていないかが示された」と指摘した。(c)AFP/Jailan Zayan

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