【2月27日 AFP】アフガニスタン・カブール(Kabul)にある内務省の建物で25日、アドバイザーとして派遣されていた米軍人2人が射殺された。アフガン政府筋は26日、イスラム教の聖典コーランを米兵が焼却したことへの抗議デモを2人が嘲笑したことがきっかけだったとみられることを明らかにした。

 関係筋によると、省内で抗議デモの映像を見ていた2人は、デモ参加者らを非難し侮辱したうえ、アフガニスタン人職員の男がいる前でコーランを「悪書」呼ばわりした。男がこれに怒り、軍人2人と口論になったが、2人が男を脅したため、男は2人に向けて銃弾8発を発砲して部屋を出た。

 部屋は防音仕様になっていたため、事件の発覚は1時間以上も後だった。部屋に設置されていた監視カメラの映像が捜査に使われたという。政府筋によると、警察は現在、事件の容疑者としてアフガニスタン内務省職員の男の行方を追っているという。内務省も、容疑者が同省の職員であり、逃走中であることを認めた。

 一方、アフガニスタンに駐留する国際治安支援部隊(ISAF)は、事件について「捜査中」とのみ発表した。現地のテレビは、容疑者は25歳の男で、パキスタン留学を経て2007年に運転手として内務省に就職し、その後昇進していたと報じている。

■反米デモの死者30人超える

 米軍アドバイザーの射殺事件を受けてNATO加盟国は、アフガニスタン政府機関などに派遣している職員を退避させる措置をとっている。

 フランスは「安全上の理由」のためとして、在カブール仏大使館がアフガニスタンの政府機関などに派遣している民間人アドバイザー全員を一時的に引き上げさせたと発表した。ドイツも、アフガニスタン各省庁に派遣していた職員を「予防措置」として撤退させている。

 26日には北部クンドゥズ(Kunduz)州の米特殊部隊の基地周辺で行われた反米デモの参加者が手投げ弾を投げ込み、米特殊部隊員7人が負傷した。現地当局者によるとデモには約2000人が集まり、デモ行進をしようとしたが警察に阻まれた。現地の病院関係者によると、1人が死亡し、デモ参加者7人が負傷して病院に運ばれたという。

 バグラム米空軍基地(Bagram Airbase)の焼却炉でISAF兵士らがコーランを燃やしたとの情報をきっかけに21日からアフガニスタン各地で相次いでいる抗議デモによる死者は、26日までの6日間で30人を超えた。(c)AFP/Emal Haidary