【1月11日 AFP】80万人が死亡したとされる1994年のルワンダ大虐殺の引き金となった、ルワンダのジュベナール・ハビャリマナ(Juvenal Habyarimana)大統領搭乗機撃墜事件について、仏判事から現地調査を委託された専門家チームはこのほど、ルワンダのポール・カガメ(Paul Kagame)現大統領の側近らは関与していなかったとする報告書をまとめた。側近らの弁護士が10日明らかにした。

 事件ではパイロットのフランス人も犠牲になったことから、テロ専門のジャンルイ・ブリュギエール(Jean-Louis Bruguiere)判事は調査を命じ、予備調査の結果、カガメ氏指揮下の反政府勢力「ルワンダ愛国戦線(RPF)」の部隊が同機を撃墜したことが明らかになったとして、側近8人の取調べを命じた。

 だが、ブリュギエール判事の退職後に案件を引き継いだ判事は、6人の専門家チームをルワンダに派遣。チームは現地調査の結果を踏まえ、「ミサイルはルワンダ国軍(FAR)の基地から発射された」とする報告書を作成したという。

 この結論は公的には確認されておらず、司法調査は今後も継続される。

 なお、ルワンダ当局による捜査では、ルワンダ国軍が穏健派に傾きすぎた大統領の暗殺を謀って撃墜したとの結論が出されている。

■国交は正常化されたが・・・

 ルワンダ大虐殺をめぐっては、ルワンダ政府が2008年、国軍と密接な間柄にあったフランス軍が虐殺に加担したとの報告書を発表。フランス政府はこれをただちに否定し、ルワンダ政府を強く非難した。

 ブリュギエール判事の命によるカガメ大統領側近の調査は両国関係をさらに悪化させ、カガメ大統領はフランスとの国交を断絶。だが、2007年のニコラ・サルコジ(Nicolas Sarkozy)大統領の就任以降は関係改善に努めた。

 現在、両国の国交は正常化され、両首脳は互いの国を訪問し合う仲だが、ルワンダ大虐殺の捜査結果については両国間で意見が食い違っている。(c)AFP

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