【10月25日 AFP】オリンパス(Olympus)が英医療機器メーカーを買収した際に、投資顧問会社に7億ドル(約530億円)近くを支払っていた問題で、米連邦捜査局(FBI)が捜査を開始したと米紙ウォールストリート・ジャーナル(Wall Street JournalWSJ)が報じた。この問題の渦中にいる金融業界の人物がFBIと会ったという。

 一方、オリンパス広報の北田津世志(Tsuyoshi Kitada)氏は25日、FBIの調査について情報を入手していないために返答することができないとだけ述べてコメントを拒否した。

■相場を大幅に上回る投資顧問料

 オリンパスは14日、この問題を指摘したマイケル・ウッドフォード(Michael Woodford)氏を代表取締役社長から解任した。ウッドフォード氏の解任を受けてオリンパスの株価は急落。オリンパスはウッドフォード氏の解任から約2週間で時価総額のおよそ半分を失った。

 ウッドフォード氏は、2006年から2008年の間に行われた複数の支払いについて疑問を投げかけていた。そのうちの1つが、19億2000万ドル(約1500億円)で英医療機器メーカー、ジャイラス・グループ(Gyrus Group)を買収した際に、投資顧問会社Axesに6億8700万ドル(約520億円)を支払っていた問題だった。

 Axesへの支払いは買収額の3分の1を超えており、買収における平均的な報酬額である1~2%をはるかに超えていた。米紙ニューヨーク・タイムズ(New York Times)によると、報酬は、このAxesが管理する英領ケイマン諸島(Cayman Islands)の投資ファンドに支払われていた。

 ウッドフォード氏は、一連の支払いの問題が重大なガバナンス(企業統治)上の懸念をもたらしたとして、オリンパスの会長に辞任を求める文書を提出したところ、解任されたと語っている。ウッドフォード氏は、解任されるわずか6か月前に社長に就任し、解任の2週間前に最高経営責任者(CEO)に就いたばかりだった。オリンパスで初めての外国人社長、外国人CEOだった。

 ウッドフォード氏は、支払いが高額である理由について、コンサルティング会社プライスウォーターハウスクーパース(PricewaterhouseCoopersPwC)に調査を委託。ウッドフォード氏はPwCに、オリンパスが中核事業である精密機器と関連のない日本企業3社の買収に多額を費やし、後に減損処理したことについても調査を依頼したという。

 オリンパスの株価はウッドフォード氏が解任される前日だった10月13日の終値から約50%下落しており、株主はオリンパスに説明を求めている。(c)AFP