【6月23日 AFP】ユダヤ人を差別する発言をしたとして侮辱罪で起訴されたデザイナーのジョン・ガリアーノ(John Galliano)被告(50)が22日、公判に出廷し、パリ(Paris)のバーで暴言を吐いたのはアルコールとドラッグに依存する自分の「殻(shell)」だと主張した。

「クリスチャン ディオール(Christian Dior)」を解雇されたガリアーノ被告は、人種差別的および反ユダヤ的な発言をした事実は否定しなかったものの、事件については記憶にないと述べた。

 バー「ラ・ペルル(La Perle)」で撮影された動画には、被告がそばに座っている人に対して、「わたしはヒトラーが好きだ」「あなたたちは毒ガスで殺されなくてラッキーだ」などと述べて相手を驚愕させる様子が収められていた。公判でこの動画が映し出された後、被告は「これはわたしの信念ではない。このビデオに映っているのは、弱々しく、助けが必要な人物だ。これは、限界まで追い込まれたジョン・ガリアーノの殻なんだ」と述べ、自分は反ユダヤ主義ではないと強調した。

 また、ガリアーノ被告は、当時自分がアルコール、精神安定剤、睡眠薬という3つの依存症と闘っていたと述べ、ディオールを解雇された後は米アリゾナ(Arizona)州とスイスのリハビリ施設に入所したと述べた。現在は「デイケア」の世話になっているという。

 有罪となれば、最大で禁錮刑6月および罰金2万2500ユーロが科される可能性がある。検察側は、罰金は少なくとも1万ユーロを下るべきでないと主張している。

 判事に謝罪の意志を問われたガリアーノ被告は、「深く謝罪したい。このすべての出来事で悲しませた人たちに謝罪したい。わたしはすべての人、すべての人種、信念、宗教、セクシュアリティーを尊重する」と述べ、自分も子どものころから移民であったり、ゲイであったために偏見に悩まされたと語った。

 公判は7時間にも及んだ。判決は9月8日に言い渡される。(c)AFP/Robert MacPherson

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