【5月26日 AFP】米アリゾナ(Arizona)州で今年1月、米下院議員が負傷し6人が死亡した銃乱射事件で、同州の連邦地裁は25日、殺人罪などで起訴されたジャレッド・リー・ロフナー(Jared Lee Loughner)被告(22)について、精神鑑定の結果、責任能力がないとの判断を下した。これにより、同被告が法廷で裁かれない可能性が出てきた。

 審理の冒頭、ロフナー被告は裁判長に向かって「見世物をありがとう。彼女は俺の目の前で死んだんだ」「おまえは裏切り者だ」などと叫び、警備員2人に拘束されて退廷させられた。

 ラリー・バーンズ(Larry Burns)判事はその後、被告が統合失調症だとの医師団の鑑定結果を報告し、また被告は弁護士に対し理不尽な不信感を抱いているため、自らの弁論を行ったり裁判を理解することができないと説明した。医師らによると、ロフナー被告は「陰謀のために」自分が公正な裁判を受けられないと信じているという。

 今後、被告は最長4か月間、医療施設で治療を受け、訴訟継続が可能かどうか医師が判断する。

 被告は1月8日、アリゾナ州トゥーソン(Tucson)のスーパーマーケット前で同州選出の民主党のギフォーズ下院議員(40)が開いていた集会で、ギフォーズ議員の頭部を至近距離から銃撃し、続けて銃を乱射、9歳の少女や連邦判事を含む6人が死亡した。ギフォーズ議員は重体に陥ったが回復し、現在はリハビリを受けている。

 3月に開かれた公判でロフナー被告は、すべての罪状について否認した。その後、精神鑑定が命じられていた。(c)AFP

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