【12月24日 AFP】街中で、高価なiPhone(アイフォーン)やブラックベリー(Blackberry)を馴れた手つきで扱う人々。文字通りスマートな印象を与えるが、彼らはある共通した危険に直面してもいる。一種のステータスシンボルとも見られているスマートフォンへの欲求に駆られた窃盗事件が多発しているのだ。

 パリ(Paris)の警察当局は前週、市内の地下鉄でスマートフォン狙いの窃盗事件が急増しており、その手口も暴力を伴う手荒なものになりつつあるとの警告を発した。今や、市内の交通機関で盗まれる携帯電話の70%がスマートフォンだという。

 パリでは前週、iPhoneを狙った強盗団に4人が襲撃される事件があった。同市では毎月数百件の強盗事件が発生しているが、4件に3件はスマートフォン絡みだという。

 英国では、窃盗事件全体に占めるスマートフォン窃盗事件の割合が上昇していることを受け、警察に30人体制の「携帯電話犯罪対策班」が発足し、活動している。
 
■道端で取り出す時は左右を確認

 スペイン・バルセロナ(Barcelona)の新聞コラムニスト、スサナ・ラミレスさん(29)は、先日、自身のブログに次のように書き込んだところ、読者から大きな反響が寄せられたという。

「スマートフォンを道端で取り出す時は、まず右を見て、それから左を見るの。まるで電話ではなくナイフかドラッグを取り出すような気分だわ」

 ニューヨーク(New York)では、地下鉄駅の構内アナウンスが、スマートフォンなどの電子機器を人前にさらさないよう注意を促している。

■盗難品は海外へ、8万円の高値が付く場合も

 英国をはじめとする多くの国々では、各端末に国際移動体装置識別番号(端末識別番号)が付されており、盗難に遭った場合は国内ネットワークへの接続を不能にすることができる。

 だが、こうしたシステムが、盗んだ端末を東欧、アルジェリア、モロッコ、西アフリカなどで売却する動きを加速させてもいる。こうした国々では、iPhoneは高値で売れる。クレジットカード番号など詐欺に有用なデータが入っていれば、1000ドル(約8万4000円)の値が付く場合もある。

 自己防衛策としては、不正アクセス防止機能や、iPhoneの居場所を特定できるGPSアプリケーションなどが用意されている。

 最近では、盗難に遭ったiPhoneの居場所をGPSアプリケーションを使って捜索していた警察のヘリコプターが、盗んだ犯人を特定し、逮捕したというケースが、オーストラリアと米国で1件ずつ報告されている。(c)AFP/Rory Mulholland