【6月15日 AFP】米国務省は14日、人身売買に関する報告書を公表した。その中で、女性に対する売春の強制を防止できていないとして、シンガポールやタイ、ベトナムなどを監視リストに載せたことを明らかにした。

 監視リストへの記載は通常、対象国に行動を促す圧力として働くが、米国は記載された国に対する民生支援の一部削減に踏みきることもできる。

 米国務省でこの報告書を公表したヒラリー・クリントン(Hillary Clinton)国務長官は、人身売買は「非常に重大な犯罪」だと述べた。クリントン長官は大統領選で、女性と子どもの人権問題を大きなテーマに掲げていた。

 報告書によると、人身売買をめぐる状況は過去10年で改善がみられるものの、2009-10年の人身売買被害者は推定1230万人に上るという。

 アジア諸国のうち、今年、監視リストに追加されたのは、アフガニスタン、ブルネイ、ラオス、モルディブ、シンガポール、タイ、ベトナムの7か国。バングラデシュ、中国、インド、ミクロネシア、フィリピン、スリランカは前年から引き続き監視リストに記載されている。

 北朝鮮、ミャンマー、パプアニューギニアは、人身売買に関する最低基準さえ満たしていないとして、引き続き最低レベルに位置づけられた。

 報告書はシンガポールを監視リストに入れた理由について、合法的な仕事を紹介するとだまされて連れてこられた中国やフィリピン、タイ出身の女性が、売春を強制されていると指摘している。

 2004年と2005年に監視リストに入った日本は、努力はみられるがまだ十分ではないと評価された。(c)AFP/Shaun Tandon