【1月28日 AFP】2008年6月に東京・秋葉原で起きた7人が死亡、10人が重軽傷を負った無差別殺傷事件で、殺人罪などに問われた元派遣社員の加藤智大(Tomohiro Kato)被告(27)の初公判が28日、東京地裁で開かれ、被告は起訴事実を認めた。

 時事通信(Jiji Press)によると、加藤被告は「わたしが犯人であることは間違いありません」と述べ、「この場を借りておわびしたい」と被害者や遺族に謝罪した。

 起訴状などによると、加藤被告は08年6月8日、レンタルした2トントラックで、JR秋葉原駅近くの歩行者天国に突入し通行人をはねた。その後、車から降りてダガーナイフで無差別に通行人を襲い、現行犯逮捕された。車にはねられた3人と、刺された4人が死亡した。

 殺人および殺人未遂などの罪に問われている加藤被告は起訴事実をほぼ認めており、弁護側は被告の刑事責任能力について争う構え。検察側は死刑を求刑するとみられている。

 加藤被告は事件直前まで、自分の不安定な雇用状況や孤独な心境などを携帯電話の掲示板サイトに書き込んでおり、当日もトラックを運転しながらメッセージを書き残していた。

 加藤被告はこれまでに、重傷を負った元タクシー運転手(56)ら被害者や遺族に謝罪の手紙を書いた。その中で「みなさまの人生を壊してしまい、取り返しのつかないことをしたと思っています」「どんなに後悔し、謝罪しても被害が回復されるはずはなく、私の罪は万死に値するもので、当然死刑になると考えます」などと記している。

 一方、無差別殺傷事件を受けて、秋葉原では地元町会が防犯カメラを設置し、26日から運用を開始した。数週間以内にさらに34台を設置する予定だ。(c)AFP/Frank Zeller