【10月11日 AFP】フランスの司法当局は10日、国際テロ組織アルカイダ(Al-Qaeda)と関連する疑いで8日に拘束された兄弟のうち、弟(25)を釈放したと発表した。一方、欧州共同原子核研究機構(CERN)で働いていた研究者の兄(32)については拘束期間を延長したことを明らかにした。

 弟は48時間以上拘束された後、10日夜に起訴されないまま釈放された。

 2人は8日、研究施設の約100キロ南西にあるローヌ(Rhone)川付近のヴィエンヌ(Vienne)で治安当局者によって拘束された。関係筋によると、兄は少なくとも1回の攻撃を計画していたという。

 CERNは9日、兄が宇宙が「ビッグバン」後にどのようにして生まれたのかを解明するための世界最大の粒子加速器「大型ハドロン衝突型加速器(Large Hadron ColliderLHC)」を使った実験に関与する研究者だったことを認めたが、仕事上、テロ活動に悪用できるようなものとは一切接触していないと発表した。

 当局者によると、この兄はインターネットで北アフリカを拠点とするアルカイダ系組織「イスラム・マグレブ諸国のアルカイダ組織(Al-Qaeda in the Islamic MaghrebAQIM)」と連絡を取っていたとみられる。また、男は、攻撃を行いたいとの願望を示していたが、具体的な準備をする段階には入っていなかったという。

 フィガロ(Figaro)紙のウェブサイトは、この兄はアルジェリア系フランス人で1年半ほど前から警察の調査対象になっていたと報じた。ある司法関係者によると、アフガニスタンで活動するゲリラを募集する活動を調査するためインターネットを監視していたところ、この兄弟が浮上したという。

 フランスには北アフリカ出身者が多く暮らしており、情報当局者は今回の事件をフランスに対する深刻な脅威だと受け止めている。(c)AFP