【6月30日 AFP】米ニューヨーク(New York)連邦地裁は29日、数百億ドルに上る巨額詐欺事件で起訴されていたナスダック・ストック・マーケット(Nasdaq Stock Market、現ナスダックOMXグループ)のバーナード・マドフ(Bernard Madoff)元会長(71)に対し、禁固150年の判決を言い渡した。

 マドフ被告は判決言い渡しに先立ち、法廷内で「申し訳ない。許してもらおうとは思っていない」と述べ、被害者に謝罪した。この詐欺事件では、世界各地の数千人が被害にあったとされている。

 マドフ被告はさらに、「家族に恥の遺産を残してしまった。大きな苦しみはわたしの責任であり、罪悪感にさいなまれている」「自分の行いに弁解の余地はない」と心境を語った。

 障害がある兄弟の介護のために蓄えた金を失ったという被害者の1人は、「私が唯一望むことは、刑務所が被告のひつぎとなるよう、十分な長さの刑が言い渡されることだけだ」と述べた。

■資金の回収は困難

 マドフ被告による巨額詐欺事件は前年12月、深刻な金融危機が起こったことで明るみに出た。検察は被害額を約130億ドル(約1兆2500億円)とみているものの、同被告は約500億ドル(約4兆8000億円)を失ったと話している。

 マドフ被告は高利回りをうたい約30年にわたって数百億ドルを集めたものの、一切投資せず、その資金を使って投資家に「配当」を支払うという、「ポンジ・スキーム(Ponzi scheme)」とよばれる「ネズミ講」まがいの手口を使っていた。

 マドフ被告の被害者には、ハリウッド(Hollywood)スターや国際的な機関投資家、有名銀行、慈善団体などが含まれており、詐欺事件の影響で倒産を余儀なくされた企業などもある。

 投資資金の返還について、検察は集められた数百億ドルのうち、取り戻せるのは10億ドル(約960億円)程度だろうとの見方を示している。(c)AFP/Luis Torres de la Llosa and Amandine Ambregni