【8月20日】児童に対する性的虐待の罪でベトナムで服役していた英国の元グラムロックスター、ゲーリー・グリッター(Gary Glitter、64)は出所した翌日タイに入国したが、タイ政府は20日、グリッターを「入国させるに適さない人物」として英国に送還する方針を発表した。

 グリッターは2005年にベトナムのリゾート地ブン・タウ(Vung Tau)で、当時11歳と12歳だった少女を性的に虐待した罪で有罪となり、ベトナムで2年9月服役していた。19日にバンコク(Bangkok)国際空港に到着したところ、タイ当局に拘束された。当局はそのままグリッターを英ロンドン(London)行きの便に乗せる予定だったが、グリッターが胸の痛みを訴えたため空港内に拘束した。

 空港の医療関係者によると、胸痛の原因は軽い炎症で、飛行機搭乗には差し支えないと診断されたが、グリッターが次のロンドン行き便への搭乗を拒否した。タイ入管局長によると20日、グリッターは「ペルソナ・ノン・グラータ(好ましくない人物)」であると宣言された。ビザなしのまま乗り換えのために12時間以上滞在してはいけないという法に反したため、英国に強制送還されることになった。

 グリッターは70年代に活躍したグラムロック歌手で、「アイム・ザ・リーダー・オブ・ザ・ ギャング(アイ・アム、I'm The Leader Of The Gang (I Am!))」や「ドゥ・ユー・ワナ・ タッチ・ミー(Do You Wanna Touch Me?)」などのヒット曲があり、1972年発表の「ロックン・ロール(Rock and Roll)」は現在も英米のスポーツ・スタジアムで歌われることが多い。
 
 1997年には修理に出したコンピューターのハードディスク・ドライブから大量の児童ポルノ画像が見つかり、英国で逮捕された。99年に禁固4月の判決を受けたが、実刑は2月だった。

 その後はメディアに追いかけられることを避けキューバ、カンボジアと移住したが、性的関係を持とうと未成年者を探し回っていた疑いでカンボジアからも2002年に国外追放された。

 英各紙によると、ベトナムでは未成年の少女と同棲していたが、共産主義国ベトナムの法に反するとして、2005年11月にホーチミン(Ho Chi Minh)国際空港でタイへ逃亡しようとしていたところを逮捕された。2006年3月に、同国の法律で最も短い3年の禁固刑を言い渡されたが、刑期は後に3月短縮された。

 グリッターは2人の少女たちについて、英語を教えていたが、夜になると少女たちが幽霊を怖がったため泊まることになったとして無罪を主張した。(c)AFP/Anusak Konglang