【4月22日 AFP】野村ホールディングス(Nomura Holdings)は22日、傘下の野村証券(Nomura Securities)の中国籍の社員(30)が、知り合い2人に企業の合併・買収(M&A)に関する機密情報を提供したというインサイダー取引を行った容疑で証券取引等監視委員会(Securities and Exchange Surveillance CommissionSESC)から調査されていると明らかにした。政府もこの件に関し、厳正に対処する姿勢を示している。

 報道によると、現在香港の現地法人に勤務しているこの社員は、中国人男性(37)とその弟(25)に機密情報を伝えていたとみられている。兄弟は合併・買収情報を基に株取引を行い、不正な利益を上げていたとされる。インサイダー取引の容疑が固まれば、SESCは検察当局に告発する構え。

 日本経済新聞(Nikkei)が関係者の話として報じたところによると3人は2006年と2007年にインサイダー取引を通じ、約4000万円の利益を上げたという。

 野村ホールディングスは、海外法人の外国人社員がSESCの調査を受けていることを認め、個人的行為ではあるが大変遺憾で、調査に全面的に協力するとしている。

 時事通信(Jiji Press)によると、渡辺喜美(Yoshimi Watanabe)金融担当相はインサイダー取引が事実であれば「言語同断だ」とし、厳正に対処していくと語った。読売新聞(Yomiuri Shimbun)は、証券会社社員が関与するインサイダー取引事件としては、国内では過去最大規模だと報じている。(c)AFP