【3月9日 AFP】ベルギーの首都ブリュッセル(Brussels)で2日間にわたって行方不明だったソマリア出身のモデルで人権活動家のワリス・ディリー(Waris Dirie)氏(43)が7日、市内で無事保護された。現地検察当局の8日の発表によると、「ディリー氏は迷子になっていただけ」だった。

 現在はオーストリア市民権を持つディリー氏は、5日未明にブリュッセル市内のホテルでタクシーに乗って以降、行方不明となっていた。現地検察当局広報官は、7日午後ブリュッセル市内の別のホテルで発見されたと発表した。

 ウィーン(Vienna)のオーストリア外務省広報官によると、ブリュッセル市内で迷子になり警察を頼ったディリー氏は、宿泊していたホテルと同じチェーンの別のホテルに誤って連れて行かれた。

 ベルギー当局は、目撃証言を求める呼びかけを行い、タクシー運転手やディリー氏の行方を知る人物を探していた。

 現地検察当局広報官は、「ディリー氏は、宿泊料を支払うだけのお金がなかったのでホテルのロビーで夜を明かし、ブリュッセル市内を2日半にわたって放浪していたと話している。また、行方不明中の3日間は何も食べなかったそうだ」と、ベルギー国営放送RTBFの取材に答えた。

 ディリー氏は、自身の行方不明騒動が大きく注目されたことに対して、「こんなことになるとは想像していなかった」と述べた。

 ディリー氏は7日に、オランダのケルクラーデ(Kerkrade)で「Euriade Foundation」賞を受賞する予定だった。また、「国際女性の日(International Women's Day)」の8日には、ブリュッセルで女子割礼に関する会議に出席する予定だった。

 ディリー氏は、モデル業のほかに、自身の経験をもとにした4冊の書籍の著者としても知られている。また1987年公開のジェームズ・ボンド(James Bond)映画「007/リビング・デイライツ(The Living Daylights)」では脇役を演じた。(c)AFP