【12月7日 AFP】ペルーのアルベルト・フジモリ(Alberto Fujimori)元大統領の裁判を担当する同国の最高裁特別刑事法廷(Special Court of the Peruvian Supreme Court)が10日に初公判を開く。元大統領は在任中の人権侵害や汚職など7つの事件に関与したとして刑事訴追されている。

●訴訟手続き

 特別法廷は、チリからペルーに引き渡されたフジモリ元大統領が9月から拘置されているリマ(Lima)東部の警察施設内に設置される。

 公判は月曜日、水曜日、金曜日の週3回行われ、審理は長ければ2年におよぶ見通し。法廷が狭いことから、報道陣は別の部屋でテレビの生中継を傍聴することになる。

 判事は3人で、セサル・サンマルティン(Cesar San Martin)裁判長と、 Hugo PrincipeVictor Prado Saldarriaga両判事が担当する。サンマルティン氏は、元大統領が1992年に憲法を停止し、国会と最高裁を閉鎖して非常国家再建政府を樹立した際に解任された裁判官の1人。

 主任検察官はJose Antonio Pelaez検事総長が担当する。被告主任弁護人のセサル・ナカザキ(Cesar Nakazaki)弁護士は、フジモリ政権時代に在職していた政府高官らによる汚職事件で弁護を担当し、有名になった人物。

●訴追案件

 1991年にリマ郊外のバリオスアルトス(Barrios Altos)で左翼ゲリラと疑われた住民15人が陸軍によって射殺された「バリオスアルトス事件」と、1992年にリマ市内のラカントゥータ大学(La Cantuta University)から学生9人と教授1人が拉致され、陸軍によって銃殺された「ラカントゥータ事件」に関与したとされる殺人罪。

 1992年に元大統領に批判的だったスペイン全国紙「パイス(Pais)」のGustavo Gorriti記者と実業家のSamuel Dyer氏が軍情報将校らによって違法に軍の施設に連行された事件に関与したとされる誘拐罪。

 2000年に側近のブラディミロ・モンテシノス(Vladimiro Montesinos)国家情報部(SIN)元顧問が野党議員や有力市民を買収した事件に関与したとされる汚職罪。

 検察当局は、軍部隊による市民虐殺は元大統領の命令によるものだったと主張。殺人罪では元大統領に対して禁固30年を求刑している。

 ペルーは逐次執行ではなく同時執行の刑の宣告を採用していることから、複数の訴追案件で有罪が決定した場合、最長期の刑だけが執行される。

(c)AFP