【11月28日 AFP】イラン当局は、4年前にテヘラン(Tehran)の刑務所でイラン系カナダ人のフォトジャーナリスト、ザハラ・カゼミ(Zahra Kazemi)さん(当時54歳)が死亡した事件について、当初の公判に誤りがあったとして改めて公判を行うよう指示した。同国司法当局が27日、明らかにした。

 イラン司法当局の報道官は記者会見で、同国の最高裁が訴訟内容を再審理した結果、原裁判所の公判は適切ではなかったことが判明したと明らかにした。

 同報道官は、「事件は適格な裁判所に差し戻され、神の思し召しならば、再捜査され、最終的な判決が下されることになる」と述べた。

 カゼミさんは2003年6月、悪名高いテヘランのエビン(Evin)刑務所前で行われていた抗議デモを撮影していた際に拘束され、収監中に死亡した。カゼミさんの遺族の弁護団は、カゼミさんは「故意に殺害」されたと主張し、この事件の再捜査を長い間要求していた。

 弁護団を率いるノーベル平和賞受賞者のシリン・エバディ(Shirin Ebadi)さんは、カゼミさんの死について、司法当局高官による殺人事件だと繰り返し主張してきた。

 また、弁護団の1人、Mohammad Ali Dadkhah弁護士は、最高裁の判断を歓迎すると表明した。

 「穏健改革路線」を推進した前政権は、カゼミさんが同刑務所で暴行を受けたことを認めたが、司法当局は当初、カゼミさんは心臓発作で死亡し、また転倒して負傷したと主張していた。

 カゼミさんは拘束されてから入院するまでの間、検察当局、警察当局、および情報省という対立する権力中枢からそれぞれ尋問を受けていた。

 カゼミさんは入院先の病院で脳内出血で死亡し、イラン国内に埋葬されたが、カナダ政府はカゼミさんの遺体を掘り起こし、新たに検視を行うよう要求。イラン司法当局はこれを拒否した。

 一方、イラン政府はカゼミさんが二重国籍を持っていたことを把握しておらず、この事件は内政問題と主張し、カナダ政府および国際社会に介入しないよう要求していた。(c)AFP/Farhad Pouladi、Hiedeh Farmani