【9月14日 AFP】フランスのドミニク・ドビルパン(Dominique de Villepin)前仏首相が大統領候補だったニコラ・サルコジ(Nicolas Sarkozy)内相(当時、現大統領)の失脚を狙ったとされる謀略疑惑「クリアストリーム疑惑(Clearstream affair)」で、前首相が13日、予審判事の事情聴取に応じるためパリ地裁に出頭した。

 再聴取にあたり前首相は、「疑惑はサルコジ大統領が仕組んだ虚構」だと反論。「注目に値するのは、サルコジ氏が自らたった1人の被害者となるために使ったエネルギーであり、捏造された動機のほか具体的な証拠がなかったにもかかわらず、私に対して訴えが起こされたスピードだ」と述べた。

 また、疑惑で問題とされた偽造リストがサルコジ大統領を特に狙ったものだとの証拠はないとして、大統領の訴えは「1人の原告のために私物化された」ものだと主張した。

「クリアストリーム疑惑」は、ルクセンブルクのクリアストリーム銀行(Clearstream bank)に隠し口座を保有して武器売却の手数料を不正に受け取ったとする人物のリストなど、23ページにおよぶ文書をめぐる事件。ドビルパン前首相がリストに名前が記載されていたサルコジ氏を告発したが、文書が偽造だったとされるもの。サルコジ氏はこれを「大統領選挙を前に自分を追い落とそうとした謀略」として、2006年に民事訴訟を起こしている。

 仏予審判事は2007年7月、問題の文書の流出を仕組んだ疑いでドビルパン前首相に対する捜査を本格的に開始した。(c)AFP