【7月18日 AFP】首都ワシントンD.C.(WashingtonD.C.)で30年間にわたって施行されている「拳銃所持禁止法」を違憲とするかどうかの判断が、米連邦最高裁判所に委ねられることとなった。

 米国の最高司法機関の判断は、他州の銃規制法にも影響を与える可能性があり、判決の行方が注目を集めている。

 近年、銃規制をめぐる激しい議論が巻き起こっているが、憲法修正第2条により保証されている「銃を保持する権利」について、米最高裁は1939年以来、判断を行っていない。

 ワシントンD.C.では拳銃所持禁止の法令が制定された1976年以前に登録されたものを除いて、いかなる拳銃の保持も禁止している。

 ただし、自衛目的で自宅での拳銃所持を主張する市民6人が連邦高等裁判所に訴えを起こし、同裁判所は今年3月、個人が自宅で銃を保有することも禁じるワシントンD.C.の法令は違憲との判断を示した。一方、屋外での銃所持の禁止は合憲とした。

 ワシントンD.C.のエイドリアン・フェンティ(Adrian Fenty)市長は高等裁判所の違憲判決を不服とし「市民の安全保護の観点からも最高裁に控訴する」と語っていた。

 今回、最高裁への控訴が認められたことで、フェンティ市長はAFPに声明文を寄せ、「われわれの銃規制法は、他者への暴力や自殺を試みるものに銃が渡ることを未然に防ぎ、多数の生命を救ってきた」と自信を示した。

 一方で、最高裁が銃規制を違憲と判断した場合、シカゴ、ニューヨーク、デトロイト(Detroit)など、同様に厳しい銃規制を導入している他都市への影響が懸念される。

 政界に強力な影響力を持つ全米ライフル協会(National Rifle Association)は「銃所持は『規律ある民兵は、自由な国家の安全にとって必要であるから、市民が武器を保有し、また携帯する権利は、これを侵してはならない』と憲法修正第2条に明記された権利」と主張。銃規制に強硬な反対姿勢を貫いている。

 また、2006年にワシントンD.C.で発生した殺人事件169件のうち137件が拳銃によるもので、全国平均よりも犯罪率がかなり高いことを指摘し、銃規制の効果に懐疑的な論評もみられる。

 この法令をめぐる裁判は9月5日に行われる。(c)AFP