【4月29日 AFP】バングラデシュの首都ダッカ(Dhaka)近郊サバール(Savar)で起きた縫製工場などが入るビルの崩壊事故現場で28日、最後の生存者と見られていた女性の救出作業中に火災が発生し、女性は死亡した。

 現場からのテレビ中継で、救出にあたっていた消防隊員たちは涙ながらに、救出作業中の女性の勇敢さを称えた。300人を超える死者を出した悲惨な事故での4日以上におよんだ生存者救出作業で、女性は唯一の希望の兆しとなっていた。

 AFPの取材に応じた消防隊員らによると、火災は救出作業でビルの残骸のはりを切断しているときに起きたという。火は数分で消し止められたが、再び女性の救出作業に戻ったとき、すでに女性は死亡していたという。この火災で、救助にあたっていた3人が負傷した。

 救出作業の間、女性に言葉をかけ続けていた隊員によると、すでに夫を亡くしていた、この女性には1歳半になる息子が1人いるという。「彼女は息子のために必死で生きようとしていた。私を兄弟と呼び、1人ぼっちにしないでと懇願していた」

 これまで救出作業は生存者を傷つけないよう手作業でがれきの撤去にあたっていたが、現在は重機を使ったがれき撤去作業に移っている。(c)AFP/Shafiq Alam