【4月5日 AFP】米ウィスコンシン(Wisconsin)州で2日、小型機を操縦中の男性が突然倒れ、同乗していた操縦経験がほとんどない妻が機体を緊急着陸させた。地元警察当局が3日明らかにした。

 飛行機に乗っていたのは同州在住のジョン・コリンズ(John Collins)さん(81)とその妻のヘレン・ウィルソン(Helen Wilson)さん(80)。夫が倒れた後ヘレンさんは、無線で指示を受けてスタージョンベイ(Sturgeon Bay)の空港への緊急着陸を繰り返し試みた。4回目でようやく成功したが、着陸時の衝撃で機体前方の車輪が壊れた。

 同州ドア(Door)郡のテリー・ボーゲル(Terry Vogel)保安官はAFPの電話取材に対し、夫妻が乗っていたのは操作が比較的複雑なビジネス用の8人乗り双発機セスナ(Cessna)414Aで、飛行機の燃料が底をつきかけていたため「5回目の着陸は無理だっただろう」と述べた。

 冷暖房機具や配管の部品製造に携わっていた夫のジョンさんは着陸後に搬送された病院で死亡が確認された。ヘレンさんは脊椎を骨折したという。

 息子のリチャード・コリンズ(Richard Collins)さん(55)が米ABCNews.comに語ったところによると、ジョンさんは飛行前に首の痛みを訴えていたという。また、ヘレンさんが前回飛行機を操縦したのは30年以上前のことで、セスナ414Aの操縦経験は全くなかった。

 リチャードさんは「母には飛行機の着陸はおろかコンピューターの使い方を教えることすらできない」と言い、「心配で仕方がなかった。2人とも死んでしまうかと思った」と語った。

 航空便の運航情報サイト、フライトアウェア(FlightAware)によれば、夫妻はフロリダ(Florida)州南部を出発し、ジョージア(Georgia)州を経由して自宅へ戻る途中だった。スタージョンベイはミシガン湖(Lake Michigan)に面しており、ウィスコンシン州グリーンベイ(Green Bay)から約65キロの場所にある。(c)AFP