【10月25日 AFP】世界最高峰エベレスト(Mount Everest、8848メートル)に19回登頂した経験があるネパールの有名登山家、チェワン・ニマ(Chhewang Nima)氏(43)が、ヒマラヤ(Himalaya)山脈で行方不明となっている。ネパールの登山団体関係者や政府高官は25日、死亡しているおそれもあると語った。

 チェワン氏は23日、バルンツェ(Mount Baruntse、7129メートル)の標高約7045メートルの地点で、登山グループのためにロープを固定していたところ、大規模な雪崩に襲われた。

 登山を企画したシェルパ・シャングリラ・トレック(Sherpa Shangri-La Treks)のディレクター、ジーバン・ギミレ(Jeeban Ghimire)氏は、AFPに「チェワン氏が行方不明になってからだいぶ経つ。すでに死んでいるのではないかと危ぐしている」と語った。

 ギミレ氏は、「割れ目や隔絶された場所に閉じこめられているとしたら、チェワン氏は訓練も積んだ経験豊富な登山家だから生存する可能性はある」ものの、「雪の下に埋もれてしまっては、生き延びることはできない」と述べた。

 事故の際には別のシェルパと一緒だった。そのシェルパは「チェワン氏より100メートルほど低い地点にいたので無事だった」という。チェワン氏の事故はベースキャンプに報告されたが、悪天候のため捜索は難航し、25日になって捜索が再開された。

 2人の娘の父親で、ヒマラヤの多くの山の登頂経験があるチェワン氏はことしに入ってからエベレストに2度登頂し、エベレストの登頂回数記録でアパ(Apa)氏のもつ20回の最高記録にあと1回のところにまで近づいていた。(c)AFP