【12月21日 AFP】オーストラリア海軍のフリゲート艦が20日、単独無寄港世界一周ヨットレース「ヴァンデ・グローブ(Vendee Globe)」に参戦中に大腿(だいたい)骨を骨折したフランス人を救助するため南極海に出動し、このフランス人を収容した。重傷だが陸上の病院に搬送する必要はないという。レース主催者が明らかにした。

Generali」号でレースに出場していたヤン・エリス(Yann Elies)選手(34)は18日、帆を交換中にヨットが大波を受け転倒。何とかキャビンに入り自動操縦に切り替えたものの、激しい痛みに襲われ自由に動けなくなった。

 同じレースに参加していたマルク・ギュモ(Marc Guillemot)選手が19日朝、コースを変更してエリスさんに合流。フリゲート艦の到着まで並走し、無線を通じてエリスさんを支援した。

 事故を受け、豪フリゲート艦「アランタ(HMAS Arunta)」が現場に急行。同艦には有名なオーストラリア航空医療サービス「ロイヤル・フライングドクター・サービス(Royal Flying Doctor Service)」の医師が乗船していた。ギュモ選手はレースの公式サイトに、フリゲート艦の乗組員2人が、全長18メートルの「Generali」からエリス選手を見事な手際で運び出したと報告した。

 レース・ディレクターのジュリアン・ホッケン(Julian Hocken)氏は、アランタには十分な救急医療設備があるため、エリスさんを航空機で搬送する必要はないと述べた。

 この過酷なヨットレースは4年に1回開催される。今回は30隻のヨットが11月9日にフランス大西洋岸の港町レ・サーブル・ドロヌ(Les Sables d'Olonne)を出発したが、すでに12隻が棄権している。

 エリス選手は、オーストラリア沿岸の南方約800カイリ(約1480キロ)の位置にあり8位に付けていたが、負傷のため18日に棄権を余儀なくされた。

 レース39日目の17日の時点でエリス選手の633カイリ(約1170キロ)以上先を航海していたフランスのミシェル・デジョワヨー(Michel Desjoyeaux)選手がトップに立っているが、ゴールまではまだ1万2000カイリ(約2万2220キロ)以上ある。(c)AFP