【8月13日 AFP】五輪女子ビーチバレーの1次リーグでグルジアに13日敗れたロシアの選手らは、対戦したグルジアの選手らがブラジル生まれであることを理由に、グルジアへの敗北を認めないと述べた。

 張りつめた雰囲気となった試合後の記者会見で、ロシアのNatalia Uryadova選手は、ロシア・グルジア間の流血の軍事衝突をめぐる政治的な混乱に対し、いらだちを見せた。

 ロシアのAlexandra Shiryaeva・Natalia Uryadova組がグルジアのAndrezza Chagas・Cristine Santanna組に敗北したことを受けて、Uryadova選手は「わたしたちは、実際にはグルジアチームと試合したのではない。ブラジル人の友人と試合をした」と話した。

 両チームのプレーに祖国の軍事衝突が影響を及ぼしたかとの質問に対して、Uryadovaは、「彼女らがグルジア人であったなら間違いなく影響があっただろうが、彼女らはグルジア人ではない」と述べた。

 両チームはそれぞれ第22シードと第15シードで、試合前の成績はともに0勝2敗だった。しかし、グルジアとロシアの対戦は、両国の流血を伴う軍事衝突によって象徴的な意義を持った。

 グルジア軍が南オセチア(South Ossetia)自治州の支配を強化するために攻撃を開始したことを受けて、ロシア軍は前週、グルジアに進軍した。南オセチア自治州は、ロシアの支援のもとで90年代前半にグルジアからの分離・独立を求め、グルジアと衝突していた。

 グルジアのChagasとSantanna両選手はブラジル生まれ。最近になってグルジア国籍を取得していた。

 両選手は、それぞれグルジア名のRtveloとSakaの名前で五輪に参加している。両選手の名前を合わせると、グルジア語でグルジアを意味する単語「Sakartvelo」になる。

 Santannaは、Uryadovaの発言に対し、「わたしはグルジア人だと感じている。グルジアとブラジルの両方のパスポートを持っている。(五輪参加)24チームの一員となるため、2年間にわたって頑張ってきた」と言い返し、「わたしたちの間で戦争になってほしくない。彼女らのことを評価しているし、選手として尊敬している」と述べた。

 試合前や試合中に、両選手が憎しみをぶつけ合う様子はほとんど見られなかった。

 試合前には、ChagasとSantanna両選手はネット越しにロシア選手と握手した後、ネットをくぐりロシア選手と抱擁した。(c)AFP