■「前例のない規模のアウトブレイク」

接種中断の原因はさまざまだが、WHOのワクチン担当ディレクターであるケイト・オブライエン氏は記者団に対し、「いくつかの地域では、麻疹ワクチンに関して流布されている誤った情報が明らかに関連していると考えている」と述べ、これが「極めて重大な懸念事項」だと付け加えた。

接種中断の影響もあり、麻疹ワクチンの初回接種率は世界全体で84%、2回目接種率はわずか77%にとどまっている。これは、感染力の非常に強い麻疹の蔓延を防ぐために必要とされる「95%」という目標を大きく下回る数値だ。

こうした状況についてオブライエン氏は、「その結果が、今まさに現れている。2025年、57か国で大規模、または混乱を招く規模の麻疹のアウトブレイクが報告された」と指摘した。

さらに全体として、昨年は麻疹の蔓延に加えて「ジフテリアやコレラのアウトブレイクも増加」し、世界は「前例のない規模のアウトブレイク」に見舞われたと説明した。

■監視体制に「深刻な打撃」

オブライエン氏はまた、昨年ドナルド・トランプ米大統領が政権に復帰して以降、米国をはじめとする各国が断行した劇的な援助削減の影響が「最初の兆候」として現れ始めていると警告した。

同氏は、資金削減による影響の全容は、2025年のデータには十分に反映されていないとしながら、こうしたアウトブレイクが示しているのは、予防接種システムに「大きな影響が出始めていること」だと危機感を示した。

UNICEFの予防接種担当責任者であるエフレム・レマンゴ氏もこれに同意し、資金削減が、削減の影響を追跡するために必要なデータシステム自体に大打撃を与えていると警告した。

同氏は記者団に対し、「アウトブレイクを強力に監視する能力が著しく損なわれている」とし、2025年に実施されて提出された国の予防接種調査は、前年の50件からわずか18件へと激減していることを説明した。(c)AFP/Nina LARSON