子どものワクチン接種率低下、数百万人に影響の恐れ 最新研究
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【6月25日 AFP】子どもたちを致命的な疾病から守るためのワクチン接種の取り組みが、経済的不平等や新型コロナウイルス感染症のパンデミック(世界的な大流行)、誤情報の影響で世界中で停滞しており、数百万人の命が危険にさらされていると警告する研究論文が25日、英医学誌「ランセット」に掲載された。
国際的な研究者グループがまとめたもので、204の国・地域における子どもの予防接種率の調査に基づいている。
世界保健機関(WHO)の予防接種プログラムにより、過去50年間で推定1億5400万人の命が救われた。また1980~2023年に、ジフテリア、破傷風、百日咳(ぜき)、はしか、ポリオ、結核などを対象とする予防接種率は倍増した。
しかし、2010年代には予防接種の拡大ペースは鈍化し、約半数の国ではしかの接種率が低下。特に中南米での低下が顕著だった。
また、高所得国の半数以上で、少なくとも1回のワクチン接種率が低下している。
その後、新型コロナのパンデミックが発生。ロックダウンやその他の措置により、定期的な予防接種サービスが大きく混乱し、2020~2023年には約1300万人の子どもが一度もワクチンを接種しなかったという。
こうした傾向は貧困国で続いており、2023年には、世界の完全未接種の子ども1570万人のうち半数以上が8か国に集中した。その多くは、サブサハラ(サハラ砂漠以南のアフリカ)諸国の子どもたちだ。(c)AFP/Daniel Lawler