■ドクトル・ジバゴ

ユネスコは1993年にヴルコリニェツを世界文化遺産に登録した。隣国のハンガリーとチェコにも、同様の伝統的な木造建築物が保存されている二つの村が世界遺産に登録されている。

観光客は、教会や鐘楼、穀物倉だけでなく、ユネスコ・センターを訪れることができる。同センターでは自然や歴史に関する小さな展示が行われているほか、1965年の映画『ドクトル・ジバゴ』など、この村で撮影された映画が上映されている。

また、観光客向けに、民族衣装の縫製やジンジャーブレッドのデコレーションから、草刈りや干し草作りまで、伝統工芸の実演も行われている。収穫祭や伝統的な結婚式の再現イベントも催されている。

しかし、サブチャさんは、こうした習わしのいくつかは本来のヴルコリニェツの歴史には存在しなかったもので、他の習わしも今はもう行われていないと指摘。「彼らは、もはやここに存在しないものを見せている」と不満を漏らした。

一方、ヴルコリニェツ自治会のヤン・オンドリク会長によると、大半の村人は世界遺産登録の抹消までは求めておらず、自分たちの苦情に対処してもらうことを望んでいる。

オンドリク会長はAFPに対し、「村人たちは、自治体が村人よりも観光客を優先していると感じている」と語った。

ヴルコリニェツには、押し寄せる大勢の観光客に対応するために必要な、適切なアクセス道路も駐車場もなければ、公衆トイレさえ整備されていない。

そのため、観光客の中には「誰かの家の庭で用を足してしまう」不届き者もいる。

オンドリク会長の家にも、時折観光客が入り込んでくるという。