【6月6日 AFP】米国のアンドリュー・パズダー駐欧州連合(EU)大使は5日、中国との「AI(人工知能)戦争」において欧州は米国側に付くべきだと述べ、テック産業で米国依存から「脱却」を試みるEUの取り組みに懸念を示した。

EUは今週、クラウドコンピューティングやAIの最も機密性の高い公共調達において欧州企業を優遇することなどを含め、米国やアジアのテック企業への依存度を大幅に下げる計画を発表した。

ベルギーの首都で開催されたブリュッセル経済安全保障フォーラムでこの件について問われたパズダー氏は、計画の詳細についてはまだ精査していないと前置きした上で、全体的な方向性に対して懸念を表明。

その上で、「私たちは中国とAI戦争のさなかにある。米国が勝利することが西洋文明にとって極めて重要だと考えている」と主張し、万一中国が勝利するようなことがあれば、その技術的な優位性を経済的な威圧の手段として利用される可能性があり、欧州に不利益をもたらすだろうと付け加えた。

パズダー氏は、「欧州と米国がパートナーであり続けることが重要だ」とも述べた。

EUが打ち出した「テック主権」パッケージは、欧州が米国と中国を追いつこうとする中で、主要なテック産業において域内企業を後押しすることを目的としている。

欧州委員会によると、デジタル製品、デジタルサービス、デジタルインフラ、デジタル知的財産の80%以上を域外企業が供給しており、EUはこれを存亡に関わる問題と認識している。

EUは、昨年中国との間で発生した半導体やレアアース(希土類)をめぐる危機に加え、米国のドナルド・トランプ大統領が将来的に「キルスイッチ」を介して米国のクラウドコンピューティングの供給を遮断するのではないかという懸念から、自国の「弱点」が露呈したと危惧している。

だが、パズダー氏は、欧州はAIの巨大企業をいまだ生み出しておらず、高いエネルギーコストにも苦しんでおり、AI競争において「独力で追いつく」にはあまりにも後れをとっていると警告。

「米国と提携することによって追いつくことは可能であり、それこそが私たちが期待している展開だ」と述べた。(c)AFP