【6月4日 AFP】フランス中部、マッシフ・サントラルの山あいにある小さな村で育ったバレリー・モンシャランさん(52)は、トランスジェンダー女性としての人生を歩み始めたとき、自分にとって誰が本当の友人なのかを知った。

背を向けた人もいた。村の集まりには呼ばれなくなった。

森に囲まれた丘陵地帯にある人口700人の村では、誰もが顔見知りで、何もかもがすぐに広まってしまうような場所だった。

モンシャランさんは、自分の秘密を長い間胸に秘めてきた。性別違和を自覚したのは「6歳か7歳のとき」だったが、「その気持ちを言葉にすることはできなかった。もし体の違和感について母に話していたら、きっと平手打ちされていたと思う」とAFPの取材に語った。

家族は、いつも「周りにどう思われるか」を気にするような人たちだった。

だからこそ、モンシャランさんも「周囲の期待に応えるように」生きてきた。建設業に就き、22歳で結婚し、2人の子どもにも恵まれた。だが、当時の自分について「無愛想で、いかにも男らしさを誇示するような振る舞いをしていた。本当の自分とは正反対だった」と振り返る。

心の中では「とにかく苦しかった」。そして48歳のとき、ついに妻と子どもにカミングアウトした。

現在は、村から最も近い町・サンテティエンヌに移り、ホルモン療法を受けながら暮らしている。髪を伸ばし、美容院にも定期的に通うようになった。

同僚たちは最初こそかなりショックを受けていたが、今では頰にキスをしてあいさつを交わすほどになった。

モンシャランさん自身、性別移行は何かを誇示するような劇的な変化ではなかったと言う。これは、AFPが取材した他の地方在住のトランスジェンダーの人たちが語る感覚とも一致している。

取材に応じたすべての人が口をそろえて語ったのは、孤立、奇異の目、そして医療アクセスの困難さで、フランスの地方でトランスジェンダー女性・男性として生きることは、ときに孤独で長い道のりだということだった。