国連、シンガポールによる薬物関連犯罪での死刑執行に懸念「人間の尊厳に反する」
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【4月23日 AFP】国連は22日、シンガポールによる薬物関連犯罪での死刑執行に懸念を表明し、人間の尊厳に反すると述べた。
国連人権高等弁務官事務所(OHCHR)のボルカー・ターク高等弁務官は、アジアで死刑廃止が進む中で、シンガポールは故意の殺人を伴わない薬物関連犯罪に死刑を科している数少ない国の一つだと述べた。
シンガポールでは、大麻500グラム、ヘロイン15グラムなど、一定の量を超える取引をした麻薬密売人に必ず死刑を科している(義務的死刑)。
ターク氏は声明で、シンガポール、そしてすべての死刑存置国に対し、「この非人道的な行為の完全な法的廃止に向けた重要な一歩として、死刑執行のモラトリアム(一時停止)」を求めた。
OHCHRによると、シンガポールで2023年と2024年に死刑を執行された25人のうち、24人が薬物関連犯だった。
2025年に死刑を執行された17人のうち、15人が薬物関連犯だった。
今年に入ってから、薬物関連犯8人が死刑を執行されている。
その中には、先週大麻密売の罪で死刑を執行されたオマル・ビン・ヤコブ・バマダジ死刑囚も含まれている。同死刑囚の家族は2週間前に死刑執行の通知を受け取ったという。
欧州連合(EU)、英国、スイス、ノルウェーは、シンガポールに対し、バマダジ死刑囚の処刑を中止し、死刑以外の刑に減刑するよう求めていた。
ターク氏は、「あらゆる面において、この男性の命を奪うことは残酷かつ非人道的だ」「死刑は、人間の尊厳と生存権に根本的に反する」と述べた。
ターク氏は、人命の喪失を伴わない薬物関連犯罪は、国際人権法が定める「最も重大な犯罪」の基準を満たさないと主張。同法は適正手続きの完全な順守と公正な裁判の保証を要求していると付け加えた。
国際人権法は死刑について、故意の殺人を伴う極めて重大な犯罪にのみ科すべきと規定。
シンガポール当局は、死刑のおかげでシンガポールは世界で最も安全な都市の一つになっていると主張している。
同国政府が2023年に実施した調査でも、シンガポール国民が重大犯罪に対する死刑を強く支持していることが示された。
世界的な潮流は死刑の全面廃止へと向かっているが、イランやサウジアラビア、米国など一部の国で昨年、死刑執行件数が急増した。(c)AFP