【2月18日 CNS】「無人(自動運転)車」は、中国の一般の人びとの生活にどれほど近づいているのか。最近、山東省(Shangdong)青島市(Qingdao)の街角で、愛嬌のある外見をしたオレンジ色の小型車が注目を集めている。運転手のいない「小さなオレンジ車」は1200台余り。地元の有名卸売市場と荷受け先の間を往復し、生鮮品や医薬品、食品、建材などを満載して運び、物流の末端で課題となる「ラストワンマイル」を効率よく解決している。利用したい商店が相次ぎ、取り合いになるほどだという。

これらの車両は、中国のテック企業が開発し、L4級自動運転技術を統合した無人配送車だ。最大積載は1トン、最高時速は45キロ、航続距離は200キロに達し、1台当たりの1日平均配送量は従来の人手配送の2~3倍とされる。配車はスマートフォンでワンタップ注文でき、夜間の時間帯をずらした配送も強みだ。2026年末までに、青島の無人配送車は3000台に増える見通しで、都市のスマート物流ネットワークをさらに充実させるという。

青島の「小さなオレンジ車」は、中国の無人車が商用化されている一例であり、中国が建設・物流などの無人商用車分野で着実な進展を遂げていることを映し出す。中でも幹線物流や港湾輸送を担う無人トラックは、市場規模の大きさと、企業側のコスト削減・効率化ニーズの明確さを背景に、高度な自動運転技術の商用化を進める最前線になっている。

易控智駕(Eacon)、西井科技(Westwell)、卡爾動力(KargoBot.ai)、新石器など中国の有力企業は、「0から1」の技術開発の難関を突破しただけでなく、「1からN」へと広げる商用展開の道筋も確立し、実装可能で収益も見込めるビジネスの循環モデルを築いた。さらに中国の無人車技術や運用ソリューションを複数の国へ輸出し、世界の貨物輸送・物流業界の再編を促しているという。

米紙ニューヨーク・タイムズ(New York Times)の駐中国記者は、中国の辺境地域で無人運転トラックが牛の群れに道を譲る場面を目撃し、驚いたと紹介した。ここから少なくとも二つのことが分かる。第一に、無人トラックが中国ではすでに実際に公道で運行されていること。第二に、牛の群れを正確に認識し、回避行動を取れるほど高度な判断が可能だという点だ。

調査会社グローバルデータ(GlobalData)のデータベースによると、2024年7月から2025年7月までの1年間に、世界で運用される自動運転トラックは2080台から3832台へと増え、ほぼ倍増した。このうち中国は2108台を占め、1年間で3.75倍に増加し、世界の無人トラックの半数近くを占めたとされる。

無人トラックはなぜ高い認識能力を持つのか。北京市―上海市間の高速道路区間を走る小馬智行(Pony.ai)の無人トラックを例にすると、車体に搭載された24個のセンサーが同時に稼働し、車頂部のLiDAR(Light Detection And Ranging、光による検知と測距)が周囲を360度スキャンする。ミリ波レーダーは霧や水しぶきを透過して前走車のテールランプを捉え、高精細カメラは遠距離から交通標識を読み取ることで、認識の死角を極力減らしている。高速道路沿いの要所には、レーダーや高精細カメラなどの補助設備も設置され、悪天候時には無人トラックに即時の警告情報を提供する。さらに、無人トラックは走行のたびに大量のデータを蓄積し、データで訓練されるモデルが継続的に進化することで、運転の滑らかさと信頼性を高めているという。

長江(揚子江、Yangtze River)の重要港である武漢陽邏港は、2023年に無人運転の運用を開始した。現在では東風暢行(武漢)科技の無人コンテナトラックが埠頭を自在に走り回り、荷役効率を大幅に引き上げ、「人よりもすごい」と評されている。東風暢行の関係者によると、同社が独自開発した無人コンテナトラックは三次元認識能力に優れ、一般車両が作業区域に入り込んだ場合でも、瞬時に三つの回避ルートを算出し、最適な経路を選んで安全に回り込むことができるという。

高いコストパフォーマンスも、市場が急速に広がった要因の一つだ。無人貨物輸送の「巨体」は、想像ほど手が届かない存在ではないという。2025年の上海モーターショーでは、卡爾動力が世界初とする次世代輸送ロボット「KargoBot Space」を発表し、積載スペースを25%拡大、車両1台当たりの年収益を5倍にできるとして、物流業界の「過積載しないと稼げない」という痛点に切り込んだ。2027年に量産予定で、初号機の価格は25万元(約564万4950円)とされ、中小の運送会社でも導入しやすい水準を目指す。同社は、顧客が無人輸送設備への投資を行った場合の投資回収率は高く、回収期間はおよそ6か月だとしている。

街中、工業団地、港、鉱山、空港、高速道路――中国の無人車の稼働シーンは広がり続け、その展開は海外市場にも及んでいる。英国のフェリクストウ港、アブダビの埠頭、エジプトの港湾など、世界200社以上の顧客の現場で西井科技の無人トラックが走っているという。易控智駕は2025年、オーストラリアで無人運転鉱山ダンプの初回テストを実施した。日本では「1万台のL4級自動運転計画」が打ち出されたことを受け、中国製の無人けん引車が空港で手荷物搬送に使われ始め、人手不足の緩和にもつながっているとされる。「中国のスマート製造」は、現地の課題解決に寄与しながら、自らの市場領域も広げている。(c)CNS/JCM/AFPBB News